学生の取材特集

「日本水素社会をリーディングし、日本のエネルギー事情を改善する」取材先:ヤマト・H2Energy Japan株式会社

最終更新日時: 2023-10-24 13:59:13
取材先企業分野

温暖化・気候変動 再生可能エネルギー 

ヤマト・H2Energy Japan株式会社を取材しました

2023年10月5日にけいはんなオープンイノベーションセンターで開催された「京都スマートシティエキスポ2023」にてブース出展されたヤマト・H2Energy Japan株式会社への取材記事です。今回は、2023年度WE DO KYOTO!ユースサポーターの川口さんに、取材の報告として記事を書いていただきました。

(以下、寄稿者:2023年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 川口)


取材先:ヤマト・H2Energy Japan株式会社
取材日:2023年10月5日
担当者:代表取締役社長 平瀬育生 様
寄稿者:ユースサポーター 川口莉奈

ユースサポーター4名で京都スマートシティエキスポ2023に参加しました。今回は、ヤマト・H2Energy Japan株式会社企業ブースを訪問し、平瀬社長にお話を伺います。

ヤマト・H2Energy Japan株式会社は高圧ガス機器で70年以上の歴史と実績を持つヤマト産業株式会社の水素エネルギー関連事業のコアとなるグループ会社として設立されました。日本のエネルギーの対外依存を改善し、国内生産が可能かつ環境にやさしい水素エネルギー社会の構築により社会の発展に貢献することを理念とされています。

まずはヤマト・H2Energy Japa株式会社様の主な取り組みについて伺います。

「主な取り組みは、大きく分けて水素ステーションと燃料電池システムの2つです。水素供給システムとしては、主に燃料電池自動車(FCV)用及びフォークリフト用パッケージ型水素ステーションを提供しています。燃料電池システムとしては、燃料電池と水素供給装置を備えた非常用電源システム、リモート地での電源システム、またはポータブル電源システムを提供しています。」

脱炭素社会の切り札・水素ステーション

「まず水素ステーションについて説明します。再生可能エネルギーを利用した水素ステーションは、脱炭素社会の切り札と確信しております。屋根などのスペースを活用し、水素ステーション内で再生可能エネルギー(太陽光、風力など)を利用し発電します。その余剰電力などの安価な電力を利用して、水を分解し取り出した水素を…。」

「そういえばみなさんは何を専攻されていますか。」

(……参加者のほとんどが文系でした。)

「…ご専攻とは少し離れているかもしれませんが…笑。」

「水を電気分解して得られた水素を高純度で貯蔵し、必要に応じてディスペンサー(水素を充填する装置)で水素を充填します。これが水素ステーション全体のしくみです。」

平瀬社長にインタビューをしている様子。
左から2番目、奥が平瀬社長です。

「脱炭素社会が進むのはもちろん、各企業はガソリン・軽油代の負担を軽減することができますし、再生可能エネルギーの宝庫である日本は海外へのエネルギー依存を緩和することができます。その分のお金が投資に回ることで、さらに脱炭素社会が進んでいくようになるのです。」

Q 水素ステーションを各社ごとに設置するとなると、1度の投資額がとても大きくなりそうですね。初めの第一歩のハードルが高そうな気がします。

「そこで移動式水素ステーションです。水素を出前供給することで、各社は高価な水素ステーションに投資しなくても水素を利用することができます。現在は環境省・経済産業省・京都府と連携して移動式水素ステーションの実証実験を進めています。例えば、福知山市の長田野工業団地が対象地域です。」

「また、今後市場が拡大していくにつれて価格は下がっていくでしょう。ですが、元々の価格が一企業にとってはかなり重いものなので、価格は下がったとしても複数企業の共同利用となるのが現実的かと思います。」

Q 今後、移動式水素ステーションはどのような場面・地域で活用されるのでしょうか。

「主に工業団地や港湾施設です。移動式水素ステーションを運用する際に重要なのは、どれだけ移動時間を短縮できるか、です。工業団地や港湾施設は数十社の施設が集まる地域なので、短時間の移動でたくさんのユーザーに水素を届けることができます。」

災害時から日常まで活躍する水素燃料電池

「では次に燃料電池です。電池というと電気を貯めるという認識があるかと思いますが、電気を貯める方法は蓄電池と、もう一つの方法は何でしょう。」

水素…でしょうか。

「そう、水素です。蓄電池は充電後少しずつ電気が減っていきますが、水素は単体で分解されないので、漏れ出さない限り長期間保存できます。そして必要な時に水素から発電する。これが燃料電池です。」

「こちらをご覧ください。」

 

平瀬社長に燃料電池の仕組みをご説明いただく様子。
左から平瀬社長、燃料電池、ユースサポーターです。

(会場に展示されている燃料電池を一同のぞきこむ。小さなスペースを活用して設置できそうなサイズ感です!)

「こちらがその燃料電池です。なによりもこの燃料電池は、排気ガスがないこと、そして静かであることが魅力です。動いていないのではないか、と言われたことすらあります。特に、災害時に、避難所など電力が必要かつ静かな環境においてバックアップ電源が必要なときに活躍します。実際に北海道地震の際にも避難所で使用されています。環境に優しく・静かに・電力を供給することができるのが燃料電池です。」

水素社会は目の前に!日常生活で活用される水素技術

Q 今のお話を伺っていると、まだ少し私たちの実生活とは遠いのかな?という印象を受けます。今後どのように水素社会は私たちの生活において身近な存在になっていくのでしょうか。

「主に水素自動車(燃料電池自動車)と燃料電池を利用する機会が増えるでしょう。」

「電気自動車が近距離移動に適しているのに対して、水素自動車(燃料電池自動車)は長距離、そしてトラックなど大型車での移動に適しています。燃料電池自動車なら数分程度の水素充填で京都から東京まで行くことができますよ。また燃料電池も、避難所等の非常用電源や移動車両用電源としてだけでなく、日常利用する信号機や持ち運び可能なポータブル電源において積極的な利用が進んでいます。両方とも学生の皆さんにとっても身近な技術なのではないでしょうか。」

最後に、学生に向けて

「例えば今回のような、環境に関するイベントなどに出席してみると、本当に熱い想いを持った方がたくさんいらっしゃって、いろんなお話をすることができます。私自身、工業ガス会社に勤めていた際に水素に出会いましたが、水素は日本のためになる、だからこそ自分が日本水素社会をリーディングしたいという想いを常にモチベーションにしています。」

「みなさんのような若い世代の方も是非気軽にそのような場に参加して、見聞を広げ、自分がやりたいこと、将来を選択していってくださいね。」

本日は貴重なお話ありがとうございました!!!!


取材日:2023年10月5日
寄稿者:2023年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 川口

*WE DO KYOTO!ユースサポーターとは

京都府知事から委嘱を受け、京都府とともに環境に関する活動を行う若者のこと。本サイトは、彼らが勉強会や企業取材を通じて得た学びや気づきを発信する場として位置づけています。


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