学生の取材特集

「商品紹介だけではない!商社が取り組む環境対策とは?」取材先:株式会社たけびし

最終更新日時: 2023-01-06 09:17:31
取材先企業分野

温暖化・気候変動 再生可能エネルギー 

株式会社たけびしを取材しました

2022年11月14日に国立京都国際会館で開催された「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式・京都環境文化学術フォーラム国際シンポジウムにブース出展された株式会社たけびしへの取材記事です。今回は、2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーターの笠井さんに、取材の報告として記事を書いていただきました。

(以下、寄稿者:2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 笠井)


人にも環境にも優しい!次世代型小型風力発電とは?

皆さんは「風力発電」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?風力発電とは風で風車を回し、その回転エネルギーを電気エネルギーに変える仕組みのことであり、そこから環境に優しい自然なエネルギーというイメージを抱く人は少なくないと思います。しかし、その一方で様々な課題点があるのも事実です。

株式会社たけびし様は、三菱電機製品を中心とした産業用電機・電子機器を取り扱う商社であり、様々な商品を取り扱っています。その一つに「レンズ風車」というものがあり、その風車は従来の風力発電の課題点を克服できるものとなっています。

例えば騒音問題。通常、風力発電の設置地点では105デシベルの回転音がし、500m離れると減衰して50デシベル程度の騒音が発生しています。つまり、風力発電を設置する際には発電地点から500m以上の土地は確保しなければならないのです。しかし、レンズ風車の場合、発電地点からわずか13.7m離れた距離で45デシベル程度の騒音になり、これは静かな事務所程度の騒音であると仰っていました(風速5m/s以下の場合)。住宅など人がいる場所から50m離すことが推奨されているとはいえ、従来の1/10程度の土地利用で済むと考えると、いかにレンズ風車が静かな回転音で発電できるかが伝わるでしょう。

また、耐久性が高いという特徴もあります。風力発電は風の力を借りるため、風が強ければ強いほど発電量が増えていきますが、あまりにも強い風(台風など風速25m/sを超える強烈な風速下)では暴走や破損可能性があるため停止する仕様になっています。しかし、レンズ風車の場合は風速59.5m/sの風にも耐えることができ、通常の台風は勿論、先日、九州を直撃した風速46m/sの台風にも影響は無かったと仰っていました。

他にも同じロータ径の風車に比べて約3倍の出力が出せる、静かでディフュ―ザが鳥の目にも見えるのでバードストライクの心配がないなど様々な特徴があるので、気になる方は是非調べてみてください。

(画像出典:http://www.riamwind.co.jp/products.php

サスティナビリティな会社作りのために

株式会社たけびし様は商社として気候変動対策のために、レンズ風車やzeroboard(CO2排出量算定・可視化クラウドサービス)など、他社との連携により様々な製品やサービスを展開されていますが、自社内での取組も活発に行われています。一つは2030年までに事業活動で使用する電力だけではなく、サプライチェーンで排出される温室効果ガスも含めて実質ゼロにすることです。そのために売電用の太陽光発電の導入、冷房や暖房などの使用電力が上がりすぎないように調整、紙や水道の使用量管理、社有車の電動化促進などをしていると仰っていました。温室効果ガス実質ゼロを目指す難しさとして費用の問題を取り上げておられましたが、その一方で環境対策をすることは会社の付加価値が高まるためESG投資に繋がりやすく、新たな顧客やビジネスの創出につながるため、長期的な目線で見ればメリットの方が大きいとも仰っていました。

また、エネルギー問題や環境問題に製造業が大きく関わっていることから製造現場での取組が重視されている中、たけびし様では従来人手で行っていた作業の自動化や稼働情報の収集・見える化及び分析など、生産効率や品質・予防保全の向上に繋がる取組にも力を入れていると仰っていました。これらの取組はSDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に繋がっていることから、一企業の環境問題だけに囚われず、あらゆる課題解決を目指すというビジョンに繋がるのではないでしょうか。

現状取り組み始めたばかりなので環境対策を始めたことによる変化はまだ把握できていないと仰っていましたが、だからこそ今後どのような変化が見られるのかを期待したいです。

ブースではパンフレットも見せていただきました

取材を終えて

太陽光や水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)が日本で稼働している中で、風力が占める割合は小さいのが現状です。しかし、今回の取材を通じて、風力発電の奥深さや今後の可能性を実感することができました。そして、それは風力発電に限らず、他の再エネにも同様に言えることなのだと思います。取材にて「再エネの有効性に関して教育面からも理解・知識の習得が必要だと感じている」と仰っていたように、私たちは未だ再エネのことを良く知らないのではないのでしょうか。今はウクライナ情勢などによる石炭や液化天然ガスの輸入価格高騰の影響で電気代の高騰が続いていますが、世界的には再エネは年々安くなっている国が多いため、今後はコスト的にも環境的にも自分事と捉えて、もっと知っていきたいなと思いました。丁寧に答えてくださった上に、インタビューへの回答をまとめた資料も提供していただき、ありがとうございました。


取材日:2022年11月14日
寄稿者:2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 笠井

*WE DO KYOTO!ユースサポーターとは

京都府知事から委嘱を受け、京都府とともに環境に関する活動を行う若者のこと。本サイトは、彼らが勉強会や企業取材を通じて得た学びや気づきを発信する場として位置づけています。

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