取材先企業分野 | 温暖化・気候変動 再生可能エネルギー |
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エコリンクス株式会社を取材しました
2022年11月14日に国立京都国際会館で開催された「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式・京都環境文化学術フォーラム国際シンポジウムにブース出展されたエコリンクス株式会社への取材記事です。今回は、2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーターの塚田さんに、取材の報告として記事を書いていただきました。
(以下、寄稿者:2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 塚田)
「エコリンクスのネットワークは施工業者への教育から始まった」
取材に応じてくださった菰池様の言葉である。
事業を行うに際して、あくまで人と人とのかかわり、企業と企業のかかわり、そして社会という大きな枠組みの中でのかかわりを無視することはできず、あらゆるつながりが社会課題への解決に向かう力になることを取材の中で実感した。
「再生可能エネルギー専門家」
エコリンクス株式会社様は、「ITとエネルギーの融合」を理念に、再生可能エネルギー専業のスペシャリストとして社会活動や人々の日常生活を維持していくために欠かせないエネルギーと社会・人を結ぶことで、社会課題の解決を目指している。その中でも、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー事業において、設計・申請代行等発電所構築支援、発電監視、メンテナンス、エネルギー業界の人材育成など、高い専門性で地域社会をサポートしている。(エコリンクス株式会社HP「事業理念」「会社案内」より)
「再生可能エネルギー」と「脱炭素」の関係性について
また、「再生可能エネルギー」と「脱炭素」を起点に、地域のGXに向けた事業への挑戦に取り組んでおり、主に3つに分類される。
1.エネルギーの地産地消
太陽光発電によるPPA(Power Purchase Agreement)や自己託送サービスや発電予測・需給管理を通して、施工から運用に関わる施工事業者の業務をサポートする。
2. 電力の受給調整・BCP対策
蓄電池、EVの利活用サービス、充放電管理サービスにより、EV設置住宅におけるEV動力の再エネ化、また電力消費の効率化を図る。
3.再生可能エネルギーの普及・脱炭素
エデュケーションサービスにより再エネ・脱炭素を実現する人材育成を行ったり、再エネ由来排出権化支援によりコーポレートPPAで電力の購入コストを長期に抑制したりできる。
地域のGXに向けた事業への挑戦(エコリンクス株式会社様のパネル展示から)
環境に配慮すること、そして世の流れはいったい…?
次に取材を通して印象に残った点を質問形式で振り返る。
Q.発電所構築支援による効果はどんなもの?
A.(太陽光)発電所の目的は、社会インフラである電力を安全に長期にわたって供給する事であり、構築支援はこの目的達成のために設計、各種申請、施工の支援をおこなっている。多くの(太陽光)発電所が完成し、安定して稼働する事は、再生可能エネルギーの拡大という、直接的な脱炭素社会実現のための手段であり、構築支援はここに貢献していると考えている。
Q. 環境への対策とビジネス(収益)の繋がりをどのように両立させている?
A. 会社の目的は社会的責任のもと太陽光発電を普及させていくこと。それ自体が環境対策にもなるので、両立というよりもむしろ、両者はともに伸ばしていけるものであると思う。
Q. 直流で使用できる電化製品の実証実験のその後は?
A. 昨年度行われた取材以降、特に状況は変わっていない。家電メーカーに直流で使用できる電化製品を作ってもらうことが必須になるが、あくまで家電メーカーには個別の販売戦略があり、利益重視。現状は、世の中の流れを待つということになるが、それでもそのような製品はエネルギーロスがより少ないというメリットがあるため、徐々に直流の電化製品が主流になってくるのはないかと思う。
2021年度の取材の様子(詳しくはこちら)
ネットワークが課題解決の鍵を握る
太陽光発電を含め、再生可能エネルギー事業において様々な取り組みが行われているが、最先端のシステム開発や細やかなサポート支援まで充実している点は明らかである。しかし、最も注目すべき点はエコリンクス様が築き上げてきた強固なネットワークであろう。施工業者の教育から始まったとされるこのネットワークは、その後、「発電所の点検をやってほしい」「故障してしまってどうすればよいかわからない」など現場の様々なニーズに対応する中で徐々に発展してきた。そして、長い年月をかけてできたつながりによって新たな事業が生まれ続けている。脱炭素に取り組む姿勢は業界全体で変化しており、環境意識は少しずつ高まりつつあるようだ。とてつもなく大きな環境の課題に対して、単独で道を切り開いていくのではなく、人とのつながりや企業同士のつながり、社会におけるつながり、そのような相互関係の中で課題を解決していく姿勢が必要であり、取材を通してネットワークの重要性を痛感することとなった。
取材時の様子(取材に応じてくださった菰池様)
最後に
「今やっていることの延長線上をコツコツ継続すること。困っている人のお手伝いをすることで太陽光発電の普及に努めたい」と菰池様はおっしゃった。脱炭素という壮大なテーマにおいてもやるべきことをしっかりと見極める姿に感銘を受けた。
今後は、環境に良い取り組みの実現可能性が世の中の流れによって左右されるといったことはあってはならないと思う。そのためにも、様々な情報がある中で感受性を活かし、思いついたことを柔軟に実行する若者世代の重要性を、我々ユースサポーターとしては伝えていきたい。
参考
https://www.eco-linx.com/ (エコリンクス株式会社HP)
取材日:2022年11月14日
寄稿者:2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 塚田
*WE DO KYOTO!ユースサポーターとは
京都府知事から委嘱を受け、京都府とともに環境に関する活動を行う若者のこと。本サイトは、彼らが勉強会や企業取材を通じて得た学びや気づきを発信する場として位置づけています。