学生の取材特集

「『健康的な人々、持続可能な地球社会』の実現を目指して」取材先:株式会社フィリップス・ジャパン

最終更新日時: 2023-03-13 08:24:14
取材先企業分野

温暖化・気候変動 循環型社会 再生可能エネルギー 

株式会社フィリップス・ジャパン様を取材しました

2022年11月14日に国立京都国際会館で開催された「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式・京都国際文化学術フォーラム国際シンポジウムにブース出展された株式会社フィリップス・ジャパンへの取材記事です。今回は、インターンシップ実習生として京都府府民環境部脱炭素社会推進課において就業体験中の岡田さんが、WE DO KYOTO!ユースサポーター事業の活動に参加する形で取材しました。

(以下、寄稿者:京都府府民環境部脱炭素社会推進課 インターンシップ実習生 岡田)

企業概要

株式会社フィリップス・ジャパンは、超高齢者社会を迎える日本の健康と医療の問題に貢献したいと、ヘルスケア分野の変革に取り組んでいるヘルステックカンパニーです。今後、病院で使用されるフィリップスの先進医療機器やパーソナルヘルスと呼ばれるオーラルヘルスケア(電動歯ブラシ)、AED、在宅呼吸器などがクラウド上で繋がることで、人々の健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアという「一連のヘルスケア・プロセス」において、革新的な医療ソリューションを提供していきます。医療従事者の皆様、患者様だけでなく、すべての人々の健康な生活への貢献を目指します。

フィリップス・ジャパンの取組について

今回、株式会社フィリップス・ジャパン 沢 秀樹様にご対応いただきました。

Q1.「健康的な人々、持続可能な地球社会」の実現のために、人々の健康を守ること(社会面の取組)と、環境を守ること(環境面の取組)両面から取組をされていると伺いました。2つのつながりや相互作用についてどのように考えていらっしゃいますか。

A.フィリップスは、「ヘルスコンティニウム」(健康な生活から予防、診断、治療、ホームケアに至るまで)においてビジネスを展開しています。また、ヘルスケアは全体的につながりを持つものであると考えています。当社は、人々が健康的な生活を送り、病気を予防するためのお手伝いをします。また、責任ある企業として、持続可能な方法で、高水準の環境、社会、ガバナンス(ESG)基準に沿って事業を展開しています。私たちは、事業の進め方の中で、パートナーと力を合わせ、当社の運営およびその先にあるものに、持続可能性がより深く根付いて行くような取り組みを行っています。


Q2.環境性能の面から一押しの製品を教えてください。

A.フィリップスは気候変動への取り組みとサーキュラーエコノミーの目標に沿って、エネルギー効率向上、有害物質の使用回避、製品ライフサイクル全体における希少資源・材料・包装の最適化に継続的に取り組んでいます。例えば、これまで優れた臨床画像を撮影するには希少資源であるヘリウムが大量に必要でしたが、フィリップスのエコデザイン設計により、ヘリウムを99%削減、装置の耐用寿命まで再充填不要にしました。環境にやさしいだけではなく従来品を上回る性能を実現しています。


Q3.環境に配慮された製品を販売(開発・製造)することについて、フィリップス・ジャパン様にとってのメリットを教えていただきたいです。また、環境に配慮されたフィリップス・ジャパンの製品を購入することで私たち消費者にはどのようなメリットがあると考えられますか。

A.フィリップスは循環型の「生産、使用、リターン」パラダイムへのグローバルなシフトを支援する、意欲的な循環経済を目標にしています。下取りや体系的なアップグレード、下取りし新しいシステム同様の高い品質水準を満たした製品へと生まれ変わるなど、双方にとって有益なソリューションの交換を実施できます。


Q4.日本でフィリップス製品の環境面におけるメリットをアピールすることは効果的と言えますか。

A.フィリップスは、グローバル全体で、2016年~2020年の先進的プログラム「健康的な人々、持続可能な地球社会」の目標が全て順調に達成に向かい、次の段階として、2025年に向けて意欲的な環境、社会、コーポレート・ガバナンス(ESG)目標を設定しました。環境において、「パリ協定1.5℃目標達成のため、100%エコデザイン、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギー源の拡大、循環型経済ソリューションを目指す。」となっています。


循環型経済について

Q5.ホームページで下の「Circular economy」の図を目にしました。Circular economy(循環型経済) について詳しく教えてください。サーキュラーエコノミー

A.フィリップスは循環型の「生産、使用、リターン」パラダイムへのグローバルなシフトを支援する、意欲的な循環経済を目標にしています。フィリップスはお客様から返却される予定の大型医療システムを引き取り、再利用することを決定し、機器の下取りを積極的に行い、下取りされた機器のすべてが責任を持って再利用されるように管理することを意味します。


エコデザインについて

重さと材料
重量と材料

Q6.重量と材料の取り組みについて教えていただきたいです。

A.ほとんどの製品において製品の軽量化や材料使用量の削減に取り組んでいます。


エネルギー

Q7.製品のエネルギー効率改善の取り組みの状況や例を教えていただきたいです。

A.2018年、米国でのフィリップスの事業で使用されたエネルギーはすべて、ロスミラソレス風力発電所で作られた再生可能エネルギーでした。フィリップスは、Science Based Targetsイニシアティブで認定された二酸化炭素排出目標を掲げる、世界初のヘルステクノロジー企業となりました。このイニシアティブは、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所および世界自然保護基金が共同で定めたもので、志の高い企業による気候変動対策の推進を目的としています。


梱包

Q8.発泡スチロールを使用しない 100%リサイクル可能な梱包材が用いられた製品がありますが、こちらの梱包材は広く活用されているのでしょうか。

A.現在広く用いられていて、将来的には全ての包装をこの梱包にすることを目指しています。


2020年までの環境面における目標を受けて

Q9.フィリップス全体で、「2020年に事業において100%カーボンニュートラルになり、すべての電力を100%再生可能エネルギー源から調達する」という目標が達成されたと知りました。フィリップス・ジャパンの再生可能エネルギーで賄われている電力は全体の何パーセントでしょうか。

A.Jクレジット制度※の活用により、フィリップスは日本でも100%カーボンニュートラルを達成しています。
※CO2の削減・吸収量を価値として取引する制度。例えば他の企業が削減・吸収したCO₂の量を購入することで、自社のCO2排出量を相殺することができる。

<参考:2016年~2020年のプログラム「Healthy people, Sustainable planet」>

「売上高の70%はエコデザインの原則に、同15%はサーキュラーエコノミーの原則に準拠したソリューションによるものとする」、「カーボンニュートラルを実現する」、「業務で発生した廃棄物の90%を再利用し、廃棄物埋立をゼロにする」など、意欲的な目標を設定。


Q10.現在のフィリップスの総利益のうち、エコデザイン(グリーンプロダクト)による利益、循環型経済の原則に基づいた利益が占める利益はそれぞれ何パーセントでしょうか。

A.エコデザインについて、2021年度はフィリップス全体では70.5%を達成しています。また循環型経済に基づいた収益は、全体の16%を占めています。


Q11.2020年までの目標の達成状況を受けて、環境面における新たな目標があれば教えていただきたいです。

A.フィリップスは、「1.5℃地球温暖化報告書に沿ってCO2排出量を削減」、「電力の100%および総エネルギー量の75%を再生可能エネルギー源から供給」を2025年に向け掲げた目標としています。


Q12.国際的な企業として日本で環境に対する取り組みを進めるにあたって、日本特有の特徴または課題を感じられたことはありますか。またそちらに対して今後どのような取り組みを考えていらっしゃいますか。

A.全世界で行われている環境、社会、コーポレート・ガバナンス(ESG)に関わる活動を参考にしながら、日本の課題解決に合う方法を積極的に見つけていくことが重要だと考えております。


Q13.環境に対する取り組みを通してどのような社会を実現させたいと考えていらっしゃいますか。

A.私たちは、有意義なイノベーションを通じて人々の健康とウェルビーイング*を向上させることを目的としています。フィリップスでは、2030年までに、年間25億人の生活を改善することを目指していますが、そのうちの4億人がサービスが十分に行き届いていないコミュニティに属しています。フィリップスおよび当社ブランドのライセンスを付与された企業は、テクノロジーカンパニーとして、「もっと健やかな未来へ」という一貫した信念のもと、人々のためにイノベーションを起こしていきたいです。

*ウェルビーイングは幸福/福祉とも訳され、肉体的・精神的・社会的にも、すべてが満たされた状態を意味する。ここでいう「健康」とは病気でない、弱っていないということではなく、ウェルビーイングの状態を言う。


取材を通じて

今回の取材を通して、フィリップス・ジャパン様の特定分野を率いる国際企業ならではの影響力や視野の広さから、大きな目標の実現可能性を感じることができました。ご回答いただいた沢様、どうもありがとうございました!

取材日:2022-11-14
寄稿者:京都府府民環境部脱炭素社会推進課 インターンシップ実習生 岡田

*WE DO KYOTO!ユースサポーターとは

京都府知事から委嘱を受け、京都府とともに環境に関する活動を行う若者のこと。本サイトは、彼らが勉強会や企業取材を通じて得た学びや気づきを発信する場として位置付けています。

 


ページの先頭へ