学生の取材特集

「KYOTO地球環境の殿堂」サイドイベント ~京都スマートシティエキスポ2022~

最終更新日時: 2022-12-09 16:14:39
取材先企業分野

温暖化・気候変動 循環型社会 京都の文化や暮らしとエコ 

イケアとH&Mと2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーターによるトークセッションを見学しました

2022年10月6日、けいはんなオープンイノベーションセンターで開催された「京都スマートシティエキスポ2022」にて、イケア、H&Mジャパン、2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーターの3者で、「衣食住の観点から考える脱炭素に向けて」をテーマにトークセッションを行いました。(セッションの様子はこちらよりご覧いただけます。)

今回は、セッションの様子を見学していた笠井さんと中島さんと横江さんに、両社の環境の取組についての記事を書いていただきました。

(以下、寄稿者:2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 笠井・中島・横江)

H&M 環境取組

2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーターと企業(H&M、イケア)のセッションの様子

「より健康的で持続可能な暮らしを多くの人に」取材先:イケア・ジャパン株式会社(以下、イケア)

地球温暖化への関心が高まり、その中で企業がCO2の削減をすることは環境への配慮はもちろん、ユーザー意識や世界情勢、投資家が投資するかどうかの判断基準にも繋がるため、近年では多くの企業が持続可能な経営を心がけています。

イケアもその1つですが、実は最近始めたということではなく、「優れたデザイン」「機能性」「品質」「サスティナビリティ」「低価格」の5つの要素をすべて満たすようにデザインされた商品などを含めた環境と社会への配慮は、創業当初から共通の価値観として意識されているとのことです。

健康的で持続可能な暮らしを実現するため、気候変動への対策のため、今回は同社の取り組みの中でも「食」と「住」にフォーカスして紹介いたします。

IKEAの講演の様子

イケアの野山様(左)と鶴田様(右)の講演の様子

地球も身体も舌も満足!三方良しなプラントベースフードとは?

イケアの魅力の1つが手頃で美味しいフードメニュー。そのフードメニューにもサステナブルな取り組みが行われています。それがプラントベースフード。原材料に肉や卵を一切使わずに植物由来の原料だけ使用したメニューになっており、地球にも健康にも優しいというメリットをもたらしてくれます。イケアでは年々商品数を増やしているところだということです。

日ごろお肉をよく食べる人は少なくないかもしれませんが、実はお肉は食品の中でも特にカーボンフットプリントが大きいと言われているのを知っていますか?例えばイケアには年間10億個以上の売上がある「ミートボール」があります。通常ひき肉を使うことが多いミートボールですが、植物由来の材料を使う「プラントボール」に置き換えることで、通常のお肉を使ったものよりも、製造過程などから排出される温室効果ガスを96%も削減できるとおっしゃっていました。年間10億個のミートボールが置き換わっていくと、かなり大きな影響があります。地球にも身体にもやさしいプラントベースフード、一度食べてみてはいかがでしょうか。

IKEAのプラントボール

プラントボール(画像出典:IKEA HP

使い続けたい家具

イケアといえば家具。もちろんその家具にもサステナブルなこだわりが詰まっています。まず生産の段階ではリサイクル可能な材料を使用し、より長く使えるような工夫をしているそうです。そうすることで、地球への負担軽減及び共生への道、そしてお客様のお金や時間の節約をすることができます。

また、パーツごともそれぞれ分解しやすいように作られており、そうすることで、たとえ購入後に要らなくなったり壊れてしまったりした場合でも家具の引き取りや下取り、修理などにも対応してくれるサービスがあります。引き取られた家具は、メンテナンスを施したうえで、イケアのCircular Market(サーキュラーマーケット)で販売されるとのことです。とても簡単にリユース・リサイクル・リデュース(廃棄物の削減)することができます。

生産から使用後までサステナブルにこだわっており、それでありながらもデザイン性と手軽さも兼ね備えた商品となっています。今後は接着剤にもこだわり、バイオ接着剤を取り入れていきたいと語ってくださいました。根本から変える必要がありますが、既に導入に向けて動き出しており、導入の実現は現実的とのことです。是非お楽しみに。

「サステナブル製品で楽しいファッションへ!」取材先:エイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社(以下、H&M)

H&M 古着回収サービス

H&Mの山浦様の講演の様子

サステナビリティに対する姿勢

H&Mは、ファッションブランドであり、より多くの人によりサステナブルな製品を届けるために、ファッションとクオリティを最良の価格でサステナブルに提供することを心掛けています。製品だけでなくサステナビリティとファッションの両立を目指し、よりサステナブルな素材と生産工程で、ファッションも楽しめるようにということを目標にされています。また、「グリーンタグ」を50%以上リサイクルまたはサステナブルに調達された素材を使用した商品に貼付されており、区別がつけられています。

気候変動問題への取り組み

脱炭素社会実現のため、2025年までにリサイクル素材の使用を全体の30%にまで引き上げることを目標とし、2030年までにリサイクルまたはサステナブルに調達された素材のみを使用すること目標とされています。2021年現在、リサイクル素材の使用率は17.9%であり、リサイクルまたはサステナブルに調達された素材のみを使用するという目標に関しては、現時点で80%達成されています。そして、2040年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出を実質ゼロにする)を達成することを目指されています。

持続可能なビジネスの実現へ

サステナビリティは、すぐに達成できるようなものではなく、10年、20年、30年と長期的な目標です。目に見える形に現れるのには時間がかかるため、先が思いやられてしまいますが、取り組まないことのほうがコストが高く、お客様のことを第一に考えて、サステナビリティの取り組みをするべきと考えられています。

食用ごみなどを再利用して衣服へ!

H&Mのよりサステナブルな製品の中には、オレンジジュースを作るときのオレンジの皮やワイン製造の際に発生するブドウの皮・種・茎を原料にした植物由来のレザー素材など、普段捨てるようなものを再生利用して使えるようにされたものもたくさんあります。こうした意外なものを素材に採用するという取組があれば、環境に対する取組を楽しく広めることができると感じました。

オレンジファイバー_オレンジの皮から作られたシルクのような生地Grape leather_bag

革新的な素材から作られる製品の例

ファッション業界のこれからのために・・・

循環型ファッション業界を目指し、イノベイティブなアイデアや取組を支援する活動として、「GLOBAL CHANGE AWARD」があります。こちらは、H&Mグループの創業者一族が設立した非営利財団「H&Mファウンデーション」が毎年主催する国際的なイノベーション・コンペティションで、例年、スタートアップやベンチャー企業、学生の方の参加が多いそうです。参加者のアイデア・技術が産業レベルにまで拡大するようなフォローアップをされており、2019年には日本のチームが受賞し、アイデアが実用化につながった例もあるとのことで、ぜひ日本の皆様にもご参加いただきたいと山浦様は語っておられました。

取材を終えて

目の前の利益だけではなく、長期的且つ多角的な目で見られているなという印象を受けました。商品として展開している家具や食品はもちろん、エネルギー部門や配送部門にまでサステナブルな視点を向けておられ、それに対して着実に成果を見せていることに感服しました。また、何よりもそういった環境対策に対してイケア様が単独で頑張っているということではなく、トークセッションで登壇されていたH&Mジャパン様も同様に先を見据えた経営をされているというお話をしていただいて、二社含めた環境への取り組みを図る企業様が、今後どんな活躍を見せていただけるのかと期待に胸を膨らませることができました。私たち消費者も購入から消費までの段階でできることはたくさんあると思います。情報を集め、行動に移し、企業と共に環境に優しい社会を目指していきましょう。(笠井)


取材を通して、H&M様の環境に配慮した取り組みに対する前向きな姿勢は、「お客様にファッションに楽しんでもらい、よりサステナブルな製品に興味を持ってもらいたい!」という目標からきていることが印象に残りました。また、「グリーンタグ」をよりサステナブルな製品につけ、よりサステナブルな製品をお客様にわかりやすく伝え、知ってもらうということが前提として必要になると思いました。(横江)


イケア様もH&M様も、世界へ大きな影響力をもつ企業としての責任を強く意識されており、それぞれの強みを活かして環境保護への取り組みを行なっているとの事でした。みなさまはそれらを、明確な目標設定をすること、共通の価値観を会社全体に浸透させること、良い変化をもたらすだけでなくそれを少しずつでも当たり前の状態にしてゆくことをしっかり心がけることで成し遂げられているのだと感じました。イケア様は食住の観点から、H&M様はファッションを長く楽しむという観点からサステナビリティを模索されており、そういった生産者の思いや努力を消費者である私たちが受け取り一緒に取り組んでいくことが重要であると実感できた、とても実りのある取材でした!(中島)

IKEA・H&M・ユースサポーター集合写真

イケアの野山様、鶴田様、H&Mの山浦様と、2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター(登壇した3名、見学した3名)

実施日:2022-10-06
寄稿者:2022年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 笠井・中島・横江

*WE DO KYOTO!ユースサポーターとは

京都府知事から委嘱を受け、京都府とともに環境に関する活動を行う若者のこと。本サイトは、彼らが勉強会や企業取材を通じて得た学びや気づきを発信する場として位置付けています。

*京都スマートシティエキスポとは

世界トップクラスの研究開発型オープンイノベーション拠点「けいはんな学研都市」において、スマートシティの新たなイノベーションを創出する国際イベントとして2014年から毎年開催。スマートシティに関する最新技術・サービスの紹介、セミナー・シンポジウム等を通じて、スマートシティの推進とビジネス交流を行っている。

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