取材先企業分野 | 温暖化・気候変動 自然環境・生物多様性 再生可能エネルギー |
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日新電機株式会社を取材しました
2023年10月5日にけいはんなオープンイノベーションセンターで開催された「京都スマートシティエキスポ2023」にてブース出展された日新電機株式会社への取材記事です。今回は、2023年度WE DO KYOTO!ユースサポーターの塚田さんに、取材の報告として記事を書いていただきました。
(以下、寄稿者:2023年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 塚田)
「環境について考えることは自分の豊かさを探求することだ」
上記の言葉は取材を通して最も印象的だったことだ。
今回取材に応じてくださった日新電機様をはじめ、多くの企業が環境に配慮した製品を開発している。しかし、そのようなものは「もっと良い製品を作りたい」という純粋な思いから生まれ、最終的に形として現在の脱炭素化に向けた重要なピースとなっている。環境という壮大なテーマに身構えてしまうのではなく、自分の好きなこと、実現したいこと、自分自身の心の豊かさを考えることで、環境にも容易にアプローチできることを学んだ。
「電気をつかさどるスペシャリスト」
日新電機様は、豊かな社会・産業基盤の実現に向けて、電気エネルギー関連の設備を中心に多くの製品やサービスを提供している。その中でもSPSS(スマート電力供給システム)は、中核製品である受変電設備や長年培った系統連系技術を駆使し、電力エネルギー活用に関する多様なニーズに応えるソリューションとして注目されている。このシステムにより、例えば工場やオフィスビルでの省エネや省コスト、二酸化炭素排出量削減、瞬低対策、BCP対策、また離島での電力安定供給と再生可能エネルギー比率の向上、その他にも水処理場や発電所・変電所、住宅街・家庭における困りごとやニーズの解決を図ることが可能になる。
多くの人が考えているように、再生可能エネルギーは不安定な発電であるがゆえに安定供給が1つの課題である。日新電機様のSPSSは、そのような課題の克服、加えて温室効果ガスなどにも配慮した持続可能な社会の実現にも寄与するものである。
「新事業セグメントと環境」
日新電機様は、刻々と変化する環境に対して柔軟に対応していくために、2021年度から6つの成長戦略と3つの新事業セグメントを軸に事業展開を進めている。
【6つの成長戦略】
①環境配慮製品の拡大 ②分散型エネルギー対応 ③再生可能エネルギー対応 ④DXの製品・事業への適用 ⑤新興国環境対応需要の捕捉 ⑥EV拡大に伴う事業拡大
【3つの新事業セグメント】
❶電力・環境システム事業
各種システム提案、電力品質安定化への貢献、既設電力設備の更新の取り込み
❷ビーム・プラズマ事業
イオン注入装置、電子線照射、ファインコーティング(工具や自動車部品の性能向上)
❸装置部品ソリューション事業
装置部品受託生産、ASEAN地域でのマーケットインビジネス
SDGsを中核に据えた6つの戦略と再編された新事業を軸に、社会変化に対しても持続的な成長と社会貢献へとつなげることが目指されている。
Q&A
次に取材を通して印象に残った点を質問形式で振り返る。
千林様(右)から、開発された製品を見せてもらう
Q.自前ではない製品もあるが、そのメリットは?
A.もちろんコストがかかってしまうが、、、。それ以上に、取引先が要求する規模やコスト、使用量に沿った製品を柔軟に提供することが可能になる。あくまでも人に寄り添った製品やサービスの提供につながっていく。
Q.事業を進める中で、企業や世間の環境への意識に変化はあった?
A.確実に変わってきていると思う。企業は二酸化炭素削減目標などを設定し、それに向かって事業展開を行っている。世間も同様に変わっている。
事業展開、そして環境分野での飛躍に必要なものは…?
日新電機様の取り組みを勉強する中で、「信頼」という言葉が印象的だった。100年以上続く歴史のある企業であるが、それゆえに顧客をはじめ様々な方面での信頼関係を大切にしているように感じる。コストがかかりながらも、顧客の困りごとやニーズに応えようとする姿がそこにあらわれている。また、そのような姿勢に共鳴するように、環境に対する他企業や世間の見方も変化し始めていることを聞くことができた。
自身が過去に行った企業取材でも感じたことだが、脱炭素に取り組む姿勢は日本全体で変化しており、環境意識は少しずつ高まりつつあるようだ。もちろん、環境問題の解決などには1人1人の小さな意識や行動の積み重ねが必要になる。しかしながら、たとえ誰か1人がそのような環境へのアクションを起こしたとしても、大きな変化が即座に見えてくるものでは決してない。脱炭素化や環境保護、SDGsが近年注目を浴びているが、このようなテーマは我々にとっては壮大なものである。それゆえ、目標に向けて単独で道を切り開いていくのではなく、人、企業、社会における相互関係の下で課題を解決していくことが大切であり、そのためにも日新電機様のような長い歴史における信頼関係の存在は大きいと感じる。
最後に
取材の中では、インターンシップでやって来た大学院生のことも聞くことができた。そういった意欲的な若者世代からは前向きな気持ちや元気をもらえるらしい。我々ユースサポーターをはじめ、最近の学生は環境について学習する機会が非常に増えているが、環境分野に馴染み深い若者世代の日々の学びは決して無駄なものではなく、我々が環境に対してアクションを起こす姿はむしろ今後の脱炭素化、環境保護、SDGs実現に向けては大きな原動力になっていくと思う。「環境って答えがないようで実はある」。取材に応じてくださった出野様、千林様がおっしゃった。大学生が専門分野や過去の経験などそれぞれのバックグラウンドをもとに、自分なりに考え行動する、そして自分らしい答えを見つけていく。その過程を大事に続けていくことで道が開いていくのではないだろうか。
取材に応じてくださった日新電機様、本当にありがとうございました。
実際の取材の様子
取材日:2023年10月5日
寄稿者:2023年度WE DO KYOTO!ユースサポーター 塚田
*WE DO KYOTO!ユースサポーターとは
京都府知事から委嘱を受け、京都府とともに環境に関する活動を行う若者のこと。本サイトは、彼らが勉強会や企業取材を通じて得た学びや気づきを発信する場として位置づけています。